春山の定義

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梅の花が満開ですね。朝の気温はまだマイナスを示していますので、春が来たとは言えませんが、もうすこしの辛抱です。


先日起きた那須町の雪崩事故が盛んに報道されています。非常に悲惨な事故であり、親族の方をはじめ、関係者の皆さんのご心痛は計り知れません。なくなられた方のご冥福をお祈りします。


現地の状況やその後の経過は私も報道で知る情報が全てなので、事故に関して書くべきことはありません。
ただ、私も雪山で遊ばせてもらっている立場から、報道にも出てくる「春山」について書きたいと思います。


そもそも「春山」とは何か。山に入らない方には、冬山と春山の境界は想像つかないと思います。
私個人の感覚ですが、「山の春」は概ね降雪時期が終わり、天候が比較的安定してくる時期以降を指すものだと思っています。ただし、山域やその年の降雪状況により、毎年同じ時期に「春」になるというようなものでもありません。つまり、「春山」は一定の状況下のもと、春らしい山の気候を指す言葉であり、平地の季節とは全くリンクしないものと言えます。

山に積雪が多く残る場合は、「雪山」と表現するのが妥当かと思います。平地が春でも山は冬、という状況が、降雪のある標高の高い山域では一般的です。特に今の時期は基本的に冬山であり、時折春めいた日が入り込んでくる。そんな状況かと思います。

3月から4月にかけては、春の移動性高気圧により天候が急変することが多いです。つまり、安定性という観点からは、非常に危険が多い時期でもあります。スキーで滑る場合も、雪質の変化が激しく、転倒によるケガも多くなります。
私もケガの経験があり、この時期の入山判断は慎重に行い、天候が悪い場合はスキー場で滑ることにしていました。
天候の不安定さが、「春の雪山」の最大のリスクです。真冬の山は、だいたい「悪い天候」が、ある意味「安定的に」継続しますので、入山する機会が減ります。ただし、真冬の山に入ることは、当然別の大きなリスク(寒さ、雪崩、視界不良)が伴います。

リスクをどのようにして自身の認識に組み込むか。実際に雪山の入り、少しずつ経験を積むしかありません。また、その際は経験豊かな先輩と一緒に行動することがベストでしょう。
いつ、どこの山に入るかも大事ですが、「誰と行動するか」は、リスク判断において最も重要な要素だと思います。



春は山の雪も締まっていき、寒暖差により積もった雪は融解、凍結を繰り返して粒の大きなザラメ状の結晶になっていきます。スキーで滑る場合は、このザラメ雪は新雪にも優る滑走性があり、春山スキーを楽しむ行為は、山スキーの愛好家にとってクラシックな遊び方として認識され、私も大好きです。


今回事故が起きた那須の山域は、私の住む地域に1番近く、小さい頃から通った馴染みのある場所です。先週もこども達と雪遊びを楽しみました。
その山域で事故があったことは、非常に驚きであり、またとても悲しいです。

今後も私や私のこども達は那須の山々で遊んでいきます。山で遊ぶことはとても楽しいことです。こども達とも、この楽しみを分かち合いたいと思っています。そのためにも、山に入ることのリスクを正しく認識し、自分自身で命を守る選択ができるよう、親子で学んでいきたいと思っています。


私のブログを読んでいる方には、小さなお子さんがいる方も多いと思います。私の雪山経験はたいしたものではありませんが、経験を誰かに伝えることで少しでも不幸な事故を減らすための一助になれば良いなーと思っております。


いつも一緒に山で遊んでくれる仲間には、これまで大きな事故に遭わず、楽しく遊べたことについて感謝しています。ケガしたときも仲間が支えてくれたおかげで、無事に下山できました。
これからも仲間と楽しく雪山で遊べることを祈念して、この文章を終わりたいと思います。



長文、最後までお付き合いありがとうございました。